Column

今年はユズが豊作

  Column 「星の陵にて」 2008

理想のカメラ     (2008/12/23)


▼久しぶりにカメラ屋で新しいカメラに触ってきた。オリンパスのE-30と、キャノンのEOS5D
MarkⅡである。
 前者は「アート・フィルター」という新しい機能がついていて、「ラフ・モノクローム」とか「トイ・カメラ」といったフィルターを使うと、簡単に雰囲気のある写真を生成できることが「売り」である。しかも、出来上がりのアスペクト比も選べるようになっていて、正方形の写真にしてみたり、16:9というハイビジョンのような写真にすることもできるから、前者の機能と組み合わせると、アートっぽい写真が簡単にできるそうである。その機能を活用した特別サイトが用意されていて、宮﨑あおい様が主人公になった写真は、もう魅力たっぷり!
 しかし、店頭で実機を触ってみてガッカリしてしまった。先ず「結構イケル」という評判のファインダーが、まったくイケていないのである。私くらいの老眼になると、もうあの小さなファインダーでは我慢ならないといったレベルである。しかも、シャッターフィーリングも安ぽっくて、これでは撮影する気分が萎えてしまうといったところであった。
 では、5DMkⅡの方はどうかというと、これはフルサイズだけあってファインダーはまったく問題がない。E-30の後にのぞくと、もう天国である。ただ、普段EOS40Dを使っている身としては、カメラ全体の雰囲気が似ていて、とても30万円弱もする高級機を手にしているという質感が感じられないのも事実。しかも、これまたシャッターフィーリングが「ビヨ~ン」といった感じの間延びした感触で、シャキシャキ感がない。慣れの範囲内といった感じもするが、「惚れた~!」という感じにはなれなかった。
 以上、完全な個人的なフィーリングによる感想であり、そのカメラが生み出す絵に関してはまったく見てもいない。その意味では、無茶苦茶な感想ではあるのだが、素人カメラマンにとっては、カメラのフィーリングも(絵や価格などとともに)大切な選択の基準なのではないだろうか、と改めて感じた次第である。

▼カメラを選ぶ時、カメラ本体にお金をかけるよりも、レンズにお金をかけた方が圧倒的に幸せになれるとはよく言われることだ。確かにその通りであって、キャノンのLレンズを知ってしまったがゆえに、もう後には戻れない感じである。まさしく「カメラはレンズで選ぶべきだ」と思う。
 しかし、例えば趣味で写真を撮っている者にとっては、「写真を撮る」という行為そのものが楽しみになっていたりするわけで、そうなると、「撮る」という行為の媒体そのものであるカメラのフィーリングも、実はともて重要な要素になってくるのである。
 狭い範囲ではあるが、いろいろなカメラに触ってみて思うことは、
  1 カメラという機械の完成度はニコンが一番(のような気がする)。
  2 カメラのカメラ性能の完成度はキャノンが一番(のような気がする)。
  3 魅力あるレンズのラインナップはソニーが一番(のような気がする)。
  4 広角・標準ズームはニコン、望遠と望遠ズームはキャノン、単焦点はソニーのツァイス
    (といえそうだ)。
ということである。よって、私にとっては、ボディの質感やシャッターなどの機械としてのフィーリングがニコンで、露光やホワイトバランス、オート・フォーカスなどのカメラ性能がキャノンで、しかも、ソニーのレンズが使える、というのが現時点での理想のカメラということになる。
 で、もちろんそんなカメラはないから、仕方ないのでその日の気分や撮影対象、撮影条件によってカメラを変えることになるのだが、ボディとレンズのことを考えると、もうまったくのドロ沼状態である。

▼ちなみに、最近はニコン(D700)の出番が一番多い。高感度に強いし、カメラそのもののフィーリングがイイからである。次はソニー(α900)。使いたいレンズ(マクロとか、ツァイスとか)が決まっている時はこれ。ファインダーが最高と言われるが、本当に見やすいファインダーである。ただし、高感度に弱く、シャッターのフィーリングが洗練されていない印象。キャノン(EOS40D)は、もっぱら鳥撮り用。CMOSがAPS-Cサイズだから、焦点距離が1,6倍(他メーカーは1,5倍)になるし、高感度に強いので高速連射が可能となる。それに、なんと言っても望遠のLレンズは、一度その世界を知ってしまうともう後には戻れないのである。

▼しかし、オリンパスのE-30が、私好みのカメラでなくて、本当によかった…。