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にらみ合い




「鳥撮り」はやめなさい!

レンズ故障する

 先日、鳥撮り用に使っているレンズが動かなくなった。「動かなくなった」といのは、カメラ本体に取り付けても電気的な接続ができなくなって、「絞り」とか「フォーカス」とかが動かなくなってしまったということである。早速修理に持ち込んだが、なんとその修理代が4万円弱。ちょっとビックリしてしまった。キヤノン・フォトサークルの会員なので、それでも2割引にしてもらっていて、一般の方なら5万弱になるところだったのである。これでは新しいレンズが買えてしまう…。
 なぜこんなに高いのかというと、そのレンズが「Lレンズ」というグレードの高い製品だからである。交換になるかも知れない部材そのものも高価だし、技術料なども高価に設定されているのかも知れない。例えばクルマでも、外車などを買うと、クルマそのものが高い上に、当然のことながら保険料も高くなるし、オプション備品や何かあった時の修理代などもグッと高くなるのと同じである。
 で、これは「オレは高級レンズを持っているぞ!」と自慢しているわけではない(…ちょっとはしているかも…笑)。高いレンズを買うと、その後何かの時にも、高額の出費を強いられるから気をつけよと言いたいのである。

*以下、お金の話になるので、「お前の贅沢にはついていけない」「気分が悪くなる」という方は、お読みにならない方が無難です。

鳥撮りの定番レンズ その1

 しかし、そもそもなんでこのレンズを買ったのかというと、鳥撮りのためである。
 鳥撮りには、最低でも500mmくらいの望遠レンズが必要になる。APS-Cサイズの映像素子を持つ一眼にレンズを装着すると、焦点距離が1.5倍(キヤノンは1.6倍)になるので、やはり400mmくらいはほしいことになる。しかし、このクラスの望遠レンズはすこぶる高価である。キヤノンで言えば、
●EF400mm F5.6  (143800円) 
 (安いが手ブレ補正がついていない。写りはすごくイイらしい)
●EF400mm F4.0 DO   (548000円)
 (軽くて何とか手持ちできるレンズ。ただし、逆光にすこぶる弱いらしい)
●EF400mm F2.8   (821620円)
 (超高級。重さも5キロを越える)
●EF500mm F4   (728000円)
 (鳥撮りの定番らしい。欲しい×5!)
●EF600mm F4   (915000円)
 (プロの鳥撮りの定番らしい。欲しい×4)
●EF800mm F5.6   (1238000円)
 (超贅沢品。クルマを一台、カメラにぶら下げて歩くようなものである)
という、天文学的な数字がついている(この価格は「価格.com」の最低価格。カメラ専門店・量販店などでは、もっと高くなるだろう)。 しかも、それぞれのレンズの重量も相当なものである。また、単焦点だから、ある目的以外には使いにくいという面もある。
 そこで、たいていの人は(といっても、とても「たいてい」などと言えないのだが…)、
●EF100-400mmL IS USM   (177800円)
という望遠ズームレンズを購入したり、レンズメーカーのSIGMAやTAMRONの500mmクラスのズームレンズを買うことになる。私も、人生初Lレンズは、このEF100-400mmLであった。(TAMRONの古いモデルだと80000円くらいだが、AFが遅くて画も今一つらしい。SIGMAは最新モデルで150000円くらい。私はニコン用に購入した。使用して1年の3月に故障したが、簡単な交渉の結果、新品と交換してもらえたモデルである。写りも私レベルには十分だし、なにせ10倍ズームはすごく便利である。)

鳥撮りの定番レンズ その2

 さて、もう一つの選択肢として、300mmクラスのレンズに、焦点距離を伸ばすエクステンダー(いわゆるテレコンバーター)を装着するという方法がある。焦点距離が伸びる分暗くなるので、明るいレンズであることが必要となるが、キヤノンでいうと次のような組み合わせが考えられる。
●EF300mm F4 に 1.4 倍のエクステンダーを装着(420mm相当、F5.6) (142365円 + 35700円)
 (値段の割にすごく写りのイイレンズとして有名。手ブレ補正もあり、私も常用。)
●EF300mm F2.8 に 2.0倍のエクステンダーを装着(600mm相当、F4) (498000円 + 35700円)
 (サンニッパの愛称で親しまれる。「いつかはクラウン」ではないが、「いつかはサンニッパ」
  みたいなレンズ。重さ約3キロ)

 で、私が選んだのは、この組み合わせで、日常的には上の組み合わせを使い、根性を出す時には、下のサンニッパの組み合わせを使う。下の組み合わせだと、フルサイズのボディ(例えば5DMk2)につけると600mm相当になるし、APS-Cサイズのボディ(例えば7D)につければ、何と960mm!相当にもなるからである。(ちなみに、本来は600mmF4という単焦点望遠レンズを使うのが理想なので、この300mm+エクステンダーの組み合わせを「チープ600mm」というらしいが、とてもチープな話ではない…)
 今回調子悪くなったのはこのサンニッパ。つまり、もともと500000円もするため、修理代も…ということなのである。やれやれ。

鳥撮りのカメラ

 鳥撮りは、「技術」「忍耐?」という面ももちろんある。毎日撮影現場に足を運んで、撮ろうとする鳥の習性を十分に観察した上で撮影できれば言うことはないが、月に1~2回の撮影をする素人にとっては、もう「運」の部分に相当寄りかかることになる。枝から飛び立つ瞬間や、水に飛び込む瞬間に出会い、しかも、その姿にカメラのAFが(奇跡的にも!)合焦しているという「運」の要素である。
 例えば、カワセミのような小さくてすばしっこい被写体を取ろうとすると、この「運」の要素はさらに大きくなる。そこで、何とかこの「運」との出会いの確率を少しでも高めたいと考えるわけで、
  1 高感度に強く(シャッタースピードを稼ぐため)、
  2 AFが正確で(素早く動く小さな被写体を追尾するため)、
  3 高速連写ができる(これぞ「運」を引き寄せるご本尊…)
カメラがほしくなり、もうお分かりの通り、各メーカーのフラッグシップ(45万くらい)がほしくてほしくてたまらなくなるわけである。

 ちなみに、鳥撮りに行くと、仲良しグループが陣取っている場合が多く、そのような人たちは撮影の合間に、必ずといってイイほどカメラ・レンズ談義を繰り広げている。そして、その話を小耳にはさむにつけ、ますます自分の持っていない機材、イイ機材がほしくなるのである。(もしかしたら、これらのグループの人々は、カメラ会社の回し者ではないかと疑うほどである…笑)

結論?

 というわけで、「鳥撮りはやめなさい!」というのが、写真をはじめた方への私のアドバイスである。カメラ沼、レンズ沼が待ち構えている底なしに恐ろしい世界、それが「鳥撮り」の世界なのである。あ~あ。(もちろん、本心では一緒に沼にはまって欲しいのであるが…)

(追記)というわけで?、私が自転車で(根性を出した)鳥撮りに出かける時は、背中のカメラバックの中には、
 ①フラッグシップカメラ+サンニッパ+エクステンダー 約100万円
 ②予備カメラ+300mmF4.0+エクステンダー  約40万円
の2台が入っていたこともある。当然のことながら、転んでも機材が壊れないように丈夫なカメラバックを買っているし、連写に対応した最速・大容量のメディアがカメラには装着されている。さらに、三脚は重くても安定する大型のものが…というわけで、どこまで行っても果てのない「沼」なのである。しかも、イイ写真が撮れるかどうかは(私レベルでは)「運」次第…。ホントにトホホな世界なのである。

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