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花宇宙




ボケの話

 この駄文は、日比谷高校PTAの皆さんが編集なさっている「会報」第156号のために書いたものです。会報部の皆さんからは「随想」ということで依頼を受けましたが、ちょうどその時に読んでいた『猫とあほんだら』(町田康、講談社)にモロ影響されて、ちょっとふざけすぎたかも知れません。私にとって写真の魅力は、ずばり「ボケ」なのですが、そんなことが伝わればと思います。
 なお、字数の関係で述べられなかった点について(補注)をつけました。写真を撮る上での基本的な内容ですが、初心者の方には難しく感じられる部分もあるかも知れません。しかし、こんなところに気をつけると、写真の世界がグット広がって、ますます写真が好きになったりするものなのです。デジカメのイイ所は、失敗を恐れずにドンドン撮れること。ぜひ、参考にしてチャレンジしてみて下さい。



●ボケの話  (国語科 保戸塚朗)

 ボケの話?…う~ん、最近身につまされるなぁ…昨日も探し物の途中で何を探してるかの忘れたし、一昨日は自動改札機にグンちゃんのブロマイドでタッチしたし、さらにその前の日には食器を冷蔵庫にしまったし…とか思われた方、そのボケではない…そんな言葉をこの会報部の原稿に書いてイイはずがない…と言うか、もしかしたら、この言葉は放送禁止用語なのではないか…とか、そんなこと言いながら書いているではないか!…とか、だんだん訳が分からなくなってきたのは、町田康風に書いてみたからである。町田康の最新エッセー『猫とあほんだら』(講談社、2011)はすこぶる面白い。猫を飼ったことのある人だったら、泣いて笑うほど面白い…が、私は猫は飼ったことがない。ははは。犬は4匹飼った。ポチ→ナポレオン→レオン→ラッシーであるが、2匹目の名前は何なのだ!と思われた方、あなたは正しい。これは人からもらったダックスフンドで、最初からそういう名前だったのである。ただ、病弱ですぐに亡くなってしまったので、ダックスフンドの子犬をすぐに買った。レオンである…って、まったく関係のない話を書いているのも町田康風である。ちなみに、小型犬は「匹」、大型犬は「頭」と数えるらしい。
 話を戻すと、ボケはボケでもカメラのボケである。これなら放送禁止用語ではないだろう…多分。で、人間とは変わるものである。私はつい数年前まで写真は一切撮らなかった。だから、我が家のアルバム(豚息の子どもの頃の写真とか旅行に出かけた記録とか…)は、すべて連れ合いが撮っていたのである。そんな私が数年前から写真を撮る楽しさにはまったのだから不思議である。不思議ではあるがそれには理由があって、つまり、ボケたのである…ではなく、ボケにはまったのである。
 写真はもうボケが最高である。で、このボケに出会えたのも、どういうわけか(単なる勢いか)レンズ交換式のカメラを買ってしまったからなのであった。デジカメが普及し、レンズ交換式の機種(いわゆる一眼)も安価で手に入るようになった。だから是非お勧めしたい。どんな機種でもいいからレンズ交換式のカメラを買い、セットのレンズではなく、そのカメラに合った「単焦点」「(換算)50mm」「F1.8(できればF1.4だが、値段が…)」というレンズを手に入れることだ。そして、そのF1.8(いわゆる絞り開放)で、花でもネコでも犬でも普段の食卓でも鏡に映った自分でも(って、これは止めた方が無難か…)何でもイイから撮ってみることだ。ピントの合った部分はキリッとしている(ハズナ)のに、その周辺はとろけるように背景へと流れ込んでゆく(ハズ)に違いない(おそらく、きっと、多分、運がよければ…)。こうなれば、もう完全に恍惚の人である。皆さまのご健闘を祈りたい。



(補注1)
 「単焦点」「(換算)50mm」「F1.8」と書いたが、実はこれに相当するレンズはあまりない。(あっても年代物が多い…) で、ずばり推薦するのは、
   シグマ 30mm F1.4 EX DC HSM (換算でほぼ50mmになる)
である。F1.4 なので約4万円弱と値段が張るが、自信をもって推薦できるレンズである。レンズメーカー製なので、キヤノン用もニコン用もソニー用・フォーザーズ用も全て揃っている。
(補注2)
 「いわゆる絞り開放」で写真を撮るには、「AUTOモード」とか「シーンモード」とかではダメで、「P(プログラム)モード」あるいは「Aモード(Avモード)」=絞り優先モードにする必要がある。その上で、カメラのダイアルを回して1.8とか1.4とかのF値(絞り値)を選ぶことになる。この辺は、せっかくだからカメラのマニュアルを見てみて下さい。
 ちなみに、この時、明るい外で撮影するなら、ISO感度はベース感度(キヤノンならISO100、ニコンなら200)にしておくことをお勧めする。絞り値が小さいと大量に光が取り込めるので、明るい外で絞り開放で撮影すると、明るすぎる写真(白飛び写真)になってしまう可能性があるのである。一方、暗い室内で撮影するなら、ISO400くらいがイイかもしれない。今のデジタル一眼はISO1600くらいまでは平気で使えるから、シャッター速度が1/100以下にならないように注意するとイイだろう。ブレで失敗することがグット減るはずである。

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