column2010-7

ハロン湾

市民劇場

グリーンタンジェリン

ヴェトナム旅行のカメラ

<今回の旅行セット>

 今回のヴェトナム旅行に携行したのは、ニコンD300Sにシグマの高倍率ズーム(18-250mmDC OS HSM)をつけたものと、ソニーNEX-5に16mm(フルサイズ換算24mm)の単焦点をつけたセットである。

<NIKON D300S + SIGMA 18-250mm DC OS HSM>

 いつもの通り(笑)、メインのカメラをキヤノンの7Dにするかどうかでかなり迷ったのだが、キヤノンのAPS-Cサイズカメラは画角が1.6倍となってしまうので、どうしても広角側が弱い。風景撮影がメインになることを考えると、1.5倍のニコンの方がベターだろうということで、この選択となった。もちろん、いつも書いているように、ニコン機のシャッターフィーリングの良さもプラス要素である。
 ちなみに、前回のイギリス旅行では、D700にタムロンの高倍率ズーム(28-300mmVC)をつけていったので、今回もそれでいこうかとも思っていたのだが、最近の高倍率レンズは望遠側がさらに拡張していて、今回持参の18-250mmの場合は、フルサイズ換算で28-375mm相当ということになる。D700の高感度性能も捨てがたかったが、なにせD700は重たいという欠点もあるので、この選択となった。
 ただし、今となってはちょっと後悔しないでもない。というのも、ハノイでグリーンタンジェリンというフランス料理の店を訪ね、雑誌「フィガロ」の表紙も飾ったこともあるという室内を撮影したのだが、暗かったため感度を上げる必要があった。D300Sの場合は、ISO800がぎりぎりといった感じで、ISO1600を使うには勇気がいる。美しい調度類や食器類、花などの質感を残すために、この場合もISO800を選択して撮影したが、残念ながらコンピュータの大画面で確認するとブレてしまっていた。トホホである。D700なら、ISO3200くらいまでは我慢できるので、シャッタースピードで二段分の余裕があることになる。「ブレるくらいなら高感度で」というのは常識なのだが、今回はまさにその通りと反省させられるとともに、D700の性能を確認した感じである。

 実際に高倍率ズームを使ってみて、性能の良さにはビックリである。私レベルの人間が撮影するには、もう十分といっていいだろう。荷物を減らしたい時、そして、一瞬のチャンスを逃したくない時には、高倍率ズームは頼りになる存在といえる。
 ちなみに、私はシグマの高倍率ズームを使ったが、タムロンのものもある。雑誌やネットで調べたところ、
 シグマのイイ点   ①シャープな写り ②HSMによる静かで早いAF
 タムロンのイイ点  ①望遠側が270mmとわずかながら有利 ②手ぶれ補正VCがよく効く
といったところのようだ。どちらも手ぶれ補正は搭載されているので、望遠側の画角差20mmよりも、シャープな写りと静かで早いAFの方がイイだろうということで私はシグマを選んだが、D700と一緒に使っている28-300mmのタムロンも気に入っている。どちらを選んでも、大丈夫だろう。

余談その1 ハロン湾に向かう途中、キヤノンのヴェトナム工場の横を通った。へぇ~、こんなところで作っているだと思い、帰りにバスから撮影しようと思ったが、帰りは遅くて暗くなってしまい、撮影できずに残念であった。

余談その2 ヴェトナムでは、日本人はコンデジを使っている人が多いが、欧米人は一眼を持って来ている人が多く、しかも、ニコン機を使っている人の方が多いような印象を受けた。

余談その3 フィリピンから来ている女性から、「NIKONは、本来『ニコン』という発音が正しいのか、『ナイコン』が正しいのか? ダンナは「ナイコン」だと言うが、私は「ニコン」だと思うのだが…」と質問された。英語圏では「ナイコン」が通用していて、事実、キムタクが登場するCFでも、欧米人は「ナイコン」と言っていた。まあ、そう説明しながら、「日本では『ニコン』と言っていますね」と伝えたところ、「やっぱり私が正しかった!」とうれしそうであった。

<SONY NEX-5 + E16mm>

 ソニーのNEX-5は、24mmという広角での撮影と、スイングパノラマという機能をハロン湾で使ってみたいと思って持参した。
 このカメラは、ミラーレスで小型であることが売りだが、写りも素晴らしいと思う。ただし、コンデジと同じで、背面の液晶を見ながらの撮影となる点が大きな欠点である。画面の隅々まできっちりと構図を決めることは難しいし、晴天の室外ではやはり見にくい場面も多かった。だから、旅の途中では、スナップ用と割り切って活用するのがよいだろう。首にぶら下げておいて、気になるシーンに出会ったら、構図などはあまり気にせずドンドン撮影するというスタイルである。フォーカスも早くて優秀な印象である。
 一方、スイングパノラマについては、広角レンズをつけていたこともあり、例えばハロン湾では、海に浮かぶ奇岩が小さくなりすぎてしまって、今ひとつ迫力にかける感じになってしまった。むしろ、35mmくらいの画角でスイングした方が、被写体の姿もきっちりと捉えてイイ雰囲気に撮れるのかも知れない。この辺は、今後もさらに研究である。また、スイングしている間の連写音が結構響くので、例えば静かな海の上などでは周囲の注目を集めやすく、撮影を遠慮してしまうような場面もあった。逆に、注目を集めてうれしいという面もないではないが、もう少し動作音は小さい方がイイかも知れない。
 ちなみに、主人はこのカメラのシャッターフィーリングが好きだと言っている。私も、音といいフィーリングといい、ボディやレンズの質感とともに気に入っている。やっぱり、趣味の世界では、人間の五感に訴える部分は重要である。