正しい英語表記を策定する英オックスブリッジ大学の委員会は、夏を意味する summer を、地球温暖化にともなって、最上級の summest に格上げするよう勧告した。太陽に由来するsumを暑さのために比較級の形へ強めて以来、およそ900年ぶり――▼パロディーニュースのサイト「虚構新聞」に載ったこの夏の記事である。むろん、そんな大学も歴史も存在しない。あるわけないのにありそうなほら話で、同紙には何度もニヤリとさせられてきた。創刊から２０年になるそうだ（中略）▼トランプ氏の再選で、さぞやりにくいのでは。ＵＫさんに尋ねると、そうでもないと意外な答えが返ってきた。「例えば『トランプ氏、全閣僚ポストを一人で兼任』のような荒唐無稽な記事でも、ありそうだと思ってもらえます」▼次の米司法長官の指名交代劇があったばかりだ。波乱はまだあるかもしれない。ＵＫさんが、またおわびをせずに済みますように。

　映画の字幕は、日本特有の文化と言われてきた。海外でも外国映画に字幕が付くことはあるが吹き替えが主流の国が多い。（中略）▼生の声を聴きたい身として、日本はありがたい。でも、なぜ字幕が主流になったのだろう。字幕翻訳者の太田直子さんは著書『字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記』で、日本語は「チラ見」でも意味がつかみやすいからだと書いている▼漢字、ひらがな、カタカナの３種類を使ってめりはりが出せるため、「瞬間的に中身をある程度つかめる」という。とはいえ、字幕は「１秒で４字」が基本だ。２秒のせりふなら８字以内に収めなければいけない。高度な技術である。

　問題の発言があったユーチューブ番組の前後も含めて視聴しました。少子化をめぐって、価値観を含めて様々な観点から議論することは重要で、「社会構造を変えるしかない」までは理解できる点もあります。しかし、いくら「小説家のSFと考えてください」と複数回前置きした上でも、「子宮摘出」などの発言は、国政政党の代表として全く許されるものではありません。発言を撤回し、謝罪したのは当然のことです。
　子宮がんなどの病気により、やむを得ず子宮を摘出したという方は、政界を含めて多くおられますし、個人的にも身近な方からそうした話を伺ったことがあります。旧優生保護法（1948～96年）下で、障害や特定の疾患がある人たちが不妊手術を強いられた問題では、子宮や睾丸の摘出など、法定外の手術が実施されていたことが国の報告で明らかになっています。その喪失感を思うと、言葉を失います。こうしたことを踏まえれば、どんなに前置きをしようとも、「子宮摘出」などと軽々しく口にできないのではないでしょうか。
　この日のユーチューブの番組では、百田氏らは米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けた今後の日米関係などを語っており、「小説家」よりも「国政政党の代表」として発言されていたように思います。いくら「これはええ言うてるんちゃうで」と繰り返し前置きしても、国政政党の代表として、言って良いことと悪いことがあることは、言葉を大事にする小説家であればむしろ誰よりも分かるはずです。