花野

2012.10.31 (水) 晴れ

 学級タイムで進路調査。志望大学や学部・学科などを記入する欄があるのは、具体的に考えるきっかけをつくるためである。配布した資料を参照したり、友だちと意見を交換したりしながら、それなりに真剣に考えていた。
 石原が、田中文相の発言を受けて、自から「暴走老人」を称したそうだ。若い世代がしっかりしないから自分が…ということだそうだが、それならあなたは若い世代を育てようとしたのかと言いたい。育てることもしないで、自分が目立ちたいだけ、つまり本当に暴走老人なのである。8744歩。

2012.10.30 (火) 晴れ

 文科省のお役人さん3名(地方の教育委員会から出向している方々らしい)が授業を見にいらっしゃる。途中でちょっと覗かれるくらいかと思っていたら、最初から最後まで熱心に立ったまま見学していらした。こういう時、こっちはいつも通りなのだが、生徒たちが張り切ってくれるので助かる。
 ノーベル賞の莫言の本を買ってみる。『赤い高粱』(岩波現代文庫)。
 夜の教育法は、伊勢物語「芥川」(第六段)の教材研究。第二段落を、敬語が登場するなどといった理由で掲載しない見識のない教科書が多いなか、しっかり第二段落までを見据えた教材・授業研究がなされていて、なかなか立派である。ちなみに、私の関係している教科書は、ちゃんと全文載せてある。当たり前である。そうでなければ「芥川」を勉強する意味はないのだから。11979歩。

2012.10.29 (月) 晴れ

 秋らしい穏やかな一日。帰りがけ、満月が美しかった~♪。生徒諸君、空を見よう!  9479歩。

2012.10.28 (日) 曇り・雨

 いよいよ冬支度。ファンヒーターを出し、完全に衣替えしてタンスの中身を入れ替え(クリーニングに出すモノをまとめ)、庭に出しておいたベンジャミンを手入れして室内に移す…ったら、明日は23度。やれやれ。
 夜、NHK特集「メイド・イン・ジャパン~逆襲のシナリオ~」を見る。こういうのを日比谷生には(小論文対策としてではなく、これからの自分や日本のことを考えるヒントとして)見てもらいたいと思うのだが、きっと英単語の勉強でもしているか、LINE にでもはまっていることだろう。
今のデスクトップ)
HANAZONO

2012.10.27 (土) 晴れ

 1・2年生はそろって第2回校内模試。1年は国・数・英の3教科だから3時過ぎに試験は終了するが、2年生は5教科、しかも、希望者は理科が3科目まで受験できるので、最終の終了時間は6時過ぎ!とか。朝の8時半から、いやはや、立派である。

2012.10.26 (金) 晴れ

 Windows8 発売。う~ん、どうなんだろうね。iPad を使っているが、タブレット型が使いやすいと思ったことはないので、UIが大きく変わったといっても、今一つピンと来ない感じ。既存のアプリは「デスクトップ画面」で使えるということだが、ちょっと様子見だろうか。9423歩。

2012.10.25 (木) 晴れ

 何となく体調がイマイチである。そのせいか、8543歩。
 猪瀬さんについては『ミカドの肖像』とか面白く読んだ記憶があるが、最近はしかめっ面ばかりで、どうなんでしょうねぇ~。都知事は、東京都のために国政に出るんだそうだが、例えばオリンピックなどというムダな提案をそのままにしての辞任では、身勝手さの方が目につく。官僚や国の機構に対する改革を目指すという点については賛同できる部分もあるが、憲法改正はいただけない。今の日本が世界に誇れるものといったら、山中さんや村上さんと並んで、この憲法(の基本精神)ではないかと私は思う。アメリカに与えられたなどという「出自」は、現在の憲法が体現している意義や価値とはいっさい関係がないのである。ねぇ、橋下さん。

2012.10.24 (水) 晴れ

 学級タイムの時間に、リクルート・ビューティー総研所長をお招きして第1学年進路講演会。就職の際に重視される能力分析を題材に、日常の学校生活の色々な場面で「コミュニケーション能力」を高めることの大切さが強調されていた。9337歩。
秋の色

2012.10.23 (火) 雨のち曇り

 昼休みにスキー教室説明会。約150部用意した申込用紙がほぼなくなったので、130名以上は参加したかも。定員は100名なので、くじ引き必至か。
 午後の授業で、居眠りが原因で教室にやってくるのが遅れた生徒がいて、授業のやる気がすっかり失せる。やれやれ…。
 放課後、河合塾の小論文の先生を招いて、慶応大学と国立医学部の小論文指導法について勉強する。参考になるポイントが色々あって、面白かった。
 夜の教育法は、『なめとこ山の熊』。立派な教材研究を踏まえ、長編小説を6~7時間かけて授業で扱う場合、編年体方式がイイのか、紀伝体方式がイイのか、フロアからの発言をもとに考える。12504歩。
優しい色

2012.10.22 (月) 晴れ

 暖かな一日。明日のスキー教室の説明会に向けて、資料などを準備する。帰りがけ、ちょっと寄ったところあるので、14139歩。ところで、その立ち寄り先でトイレに入ったところ、何か変な警報音のようなものが聞こえてくる。変だなぁ変だなぁと思いながら用を足していたら、何と私の万歩計についている防犯ブザーが鳴っているのであった。他に誰もいなくてよかった~(笑)。

2012.10.21 (日) 晴れ

 イイ天気なので、久しぶりに石神井公園へ。鳥撮りも久しぶりということで、写真の方は今一つだったが、あの緊張感にはやはり何とも言えないものがあるのであった。
横顔

2012.10.20 (土) 晴れ

 母校(大学)のホームカミングディに、今年は卒業30周年の特設会場が設けられるというので行ってみたが、あまりの運営のお粗末さにちょっと唖然。司会は財務省の官僚だが、30年ぶりに顔を会わせる場を設定するとしたら、どういう工夫をしたらイイのかという発想がまったくなく、イイ会場・イイゲストさえあればイイといった安易な箱物行政そのものであった。しかも、幹事に名前を連ねている友だちに会いたいと思っていたら、その幹事さえ出席していないという体たらく。人集めのために名前を貸しただけ? 新しい人間関係が生まれたのが唯一の救いか。やれやれ…。(二次会は、親しい仲間で集まれて楽しかった♪)

2012.10.19 (金) 晴れ

 A倍は暴力団の金庫番と関係、I破は外国人献金、T中はもはや更迭、H下が出自を話題にされて怒る…。H下の怒りは当然だが、その怒り方を見ていると、どうもねぇ~といった感じ、つまり、政治家にいっさいの品格が感じられないのはなぜだろう。
 今日の朝日新聞オピニオン欄はなかなか面白い。テーマは「二大政党制をあきらめるな」で、早大教授豊永郁子氏が二大政党制を指示する立場からインタビューに答えている。「あくまでも旧政権との比較ですが、今の政府は大震災や原発事故での自らの失策や迷走について、驚くほど正直でした。政権交代を想定しているから、自分たちが政権を降りた後で、ウソがばれるのを嫌った面もあるでしょう。かつての自民党のように政権に居座り続けるつもりだったならば、真実はもっと隠されていたかもしれない。」といった指摘はおもしろいが、日本の学者にありがちな、世界を基準にして、「現在はむしろ、二大政党制的なシステムが見直されています。大政党や政党連合が選挙での競争を通じて、さまざまな社会的勢力をその傘の下にまとめ上げていく機能が注目されるようになった。今さら多党制を持ち出すのは周回遅れ。落ち着く先は二大政党制的なあり方しかない、と腹をくくるべきです」と述べているのは如何なものか。白か黒かの分かりやすい二者択一で「社会的勢力をその傘下にまとめ上げ」た結果、現在の日本の惨状があるのではないだろうか。第三局としての「あの党」や「この党」にがんばってほしいとさえ思う今日このごろである。 9330歩。

2012.10.18 (木) 雨

 一日中雨。同僚の先生が風邪でお休みになったので、急遽ピンチヒッターで授業を受け持つことになり、そのせいで、そのクラスは、1時間目と6時間目が私の授業となったのであった。ご愁傷様です(笑)。9735歩。

2012.10.17 (水) 晴れのち雨

 サッカーは、サッカー部顧問によると、フランス戦勝利もあって、イケイケでいってやられたのだそうだ。ちゃんとブラジル向きの作戦を立て、それに従ったフォーメーションで臨めば、あんなには点を取られなかっただろうとのこと。そういうものなんでしょうかね。
 午後から生徒会役員選挙の立会演説会。個性的でおもしろかったが、中に「プレハブになっても進学実績が落ちないようにしたい」と主張する生徒が二人いて、それって生徒の(生徒会の)公約なの?と思い、結構笑えた。(プレハブになっても、現在の生活環境を維持するよう生徒会としても努めたいという文脈での発言ではあったが…)
 夕方から冷たい雨。こうして秋は深まっていくのであった…。9392歩。

2012.10.16 (火) 晴れ

 スキー教室に向けての準備を本格的に始める。
 夜の教育法のレポートは「木曾の最期」。しっかりしていた。ただし、明治大生も敬語は苦手のようである。13032歩。

2012.10.15 (月) 晴れ

 今日のニュースで、ロンドンのメダリストが天皇と懇談した旨の報道があったが、あまりに敬語の使い方が稚拙で、ちょっとどうかな…と思ってしまった。もちろん天皇家云々が言いたいのではなく、少なくとも年上の(目上の)方に対する話し方がというものがあるのではないかということである。インタビューなどの場面で、自分の父・母のことを「お父さん」「お母さん」という若者(バカ者)が多くてイライラするわけだが、体操の金メダリストや、卓球の団体銀メダリストの最年長者は、それ以下のレベルであった。やれやれ…。10871歩。

2012.10.14 (日) 曇り・雨

 家で授業の下調べ。
センニチコウ
 最近のカメラ雑誌の広告で心惹かれるのが、「NIKON AF-S 85mm f1.4/G」というレンズの宣伝のコレ。このレンズを使うとこんな写真が撮れるのではないか…と錯覚するのである(笑)。(河野英喜プロの撮影)
AF-S 85mm f1.4G

2012.10.13 (土) 晴れ

 家で、読書・WOWOWなど。今週のhomeに挙げた一枚目の写真は、ベネチアの裏町の感じがよく出ていて、個人的にはなかなか気に入っている。
 源氏物語の優れた読み手である作家の丸谷才一氏が死去。

2012.10.12 (金) 晴れ

 今日は、体育の日にやった学校公開の代休。昼間に私事を済ませ、夕方から都立大学のパーシモンホールで行われたオーケストラ部の定期演奏会へ出かける。毎年レベルアップしていて、今年の演奏も素晴らしかったが、特にチャイコフスキーの交響曲第5番はよかった~♪ その後、職場が隣駅の主人とランデブーして食事。
 キヤノンフォトサークルに写真が2枚掲載される。1枚目のタイトルは「風呂上がりの牛乳は最高だぜ!」。ジャンルマスターのたかはしじゅんいち先生から「まさに「風呂上がりの牛乳は最高だぜ!」な一枚ですね!お見事。「おっさんのよう」な(笑)目地からがあって、右手の仕草も可愛い!そしてとても印象的な一枚!お見事です。そして50mmF1.2のボケ味が美しい。」とコメントをいただく。
風呂上がりの牛乳は最高だぜ!
 2枚目は、「光を浴びて」。ジャンルマスターの斎藤裕史先生から、「主役にしたヒガンバナが背景に溶け込んでしまいましたね。原因の一つに背景との距離が近くボケてくれなかったことと、背景との明暗差。ボケきらなかった背景が主役よりも明るいので主役の足を引っ張ってしまっていました。まずは背景がボケきる被写体を探すことがポイントです。」とご指導いただく。ホントその通りで、少し露出を上げたのだが、それでは足りない被写体だったということであろう。
光を浴びて
 ちなみに、私としては同時に応募したこちら(タイトルは「幻想」)の方が自信があったのだが、こちらは不掲載。う~ん、なかなか難しい…。
幻想

2012.10.11 (木) 晴れ

 文学賞は村上春樹が受賞すると思っていたので、残念至極…。ま、仕方ないか、というところだが、何にしろ、受賞者の作品は読んだこともないので論評のしようもない。
 世の中には鋭い人がいて?、7日(日)の記事を読んだのか、「先生、Mは届きましたか(ニヤニヤ)?」とか、「買ったんでしょ(笑)?」とかいう人がいる。つまり、だいたい「買わない」と書くと、「きっと買うんだろうなぁ」と考える人がいるらしく、それがまた当たらずとも遠からずだったりするから困るわけである。ははは…。3年生の『源氏物語』に、「思はじと思ふもものを思ふなり言はじといふもこもれ言ふなり」という古歌が引用されているのだが、Mのことは、思うまいと思っていること自体、Mのことを思っているわけである。ははは…。でもね、今回ばかりは買わないと思いますよ、多分…、本当に…。

2012.10.10 (水) 晴れ

 平和な一日。昔は体育の日だったのにね。晴れの特異日。10312歩。

2012.10.09 (火) 晴れ

 夜の国語科教育法は、後期になっていよいよ「講義」ではなくなり、今日からゼミ形式での学生たちによる発表授業(教材研究)である。やる気のある学生たちと作品について考えるゼミは、やっぱり楽しいのである。11812歩。

2012.10.08 (月) 体育の日・晴れ

 今日は学校公開日ということで、体育の日だが普通授業である。2~4限の1・2年生の授業を公開したが、私は今日は3年生の授業しかないので、誰からも覗かれることなくラッキー♪
 健康診断(腹囲…)を受けて?再び計測を開始する。本日は 9169歩。
 山中教授のノーベル賞受賞決定、憂鬱なニュースが多い中で、久しぶりに晴れやかな気分である。あとは、医学者の良識に期待するのみである。
 同時に、「東アジアの領土を巡る問題について、朝日新聞が9月28日付で掲載した村上春樹さんのエッセーに共感した中国の作家、閻連科(イエンリエンコー)さんが、米紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンに寄稿した。村上さんのエッセーが「対話のきっかけをもたらした」とし、文学者が役に立つ時だと強調している。 」というニュースもイイ感じである。政経のM井先生が3年生諸君には紹介してくださったそうだが、この村上春樹の現文は読んでおくとよいと思うので、以下、全文を紹介する。(朝日新聞デジタルより)
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 尖閣諸島を巡る紛争が過熱化する中、中国の多くの書店から日本人の著者の書籍が姿を消したという報道に接して、一人の日本人著者としてもちろん少なからぬショックを感じている。それが政府主導による組織的排斥なのか、あるいは書店サイドでの自主的な引き揚げなのか、詳細はまだわからない。だからその是非について意見を述べることは、今の段階では差し控えたいと思う。

 この二十年ばかりの、東アジア地域における最も喜ばしい達成のひとつは、そこに固有の「文化圏」が形成されてきたことだ。そのような状況がもたらされた大きな原因として、中国や韓国や台湾のめざましい経済的発展があげられるだろう。各国の経済システムがより強く確立されることにより、文化の等価的交換が可能になり、多くの文化的成果(知的財産)が国境を越えて行き来するようになった。共通のルールが定められ、かつてこの地域で猛威をふるった海賊版も徐々に姿を消し(あるいは数を大幅に減じ)、アドバンス(前渡し金)や印税も多くの場合、正当に支払われるようになった。

 僕自身の経験に基づいて言わせていただければ、「ここに来るまでの道のりは長かったなあ」ということになる。以前の状況はそれほど劣悪だった。どれくらいひどかったか、ここでは具体的事実には触れないが(これ以上問題を紛糾させたくないから)、最近では環境は著しく改善され、この「東アジア文化圏」は豊かな、安定したマーケットとして着実に成熟を遂げつつある。まだいくつかの個別の問題は残されているものの、そのマーケット内では今では、音楽や文学や映画やテレビ番組が、基本的には自由に等価に交換され、多くの数の人々の手に取られ、楽しまれている。これはまことに素晴らしい成果というべきだ。

 たとえば韓国のテレビドラマがヒットしたことで、日本人は韓国の文化に対して以前よりずっと親しみを抱くようになったし、韓国語を学習する人の数も急激に増えた。それと交換的にというか、たとえば僕がアメリカの大学にいるときには、多くの韓国人・中国人留学生がオフィスを訪れてくれたものだ。彼らは驚くほど熱心に僕の本を読んでくれて、我々の間には多くの語り合うべきことがあった。

 このような好ましい状況を出現させるために、長い歳月にわたり多くの人々が心血を注いできた。僕も一人の当事者として、微力ではあるがそれなりに努力を続けてきたし、このような安定した交流が持続すれば、我々と東アジア近隣諸国との間に存在するいくつかの懸案も、時間はかかるかもしれないが、徐々に解決に向かって行くに違いないと期待を抱いていた。文化の交換は「我々はたとえ話す言葉が違っても、基本的には感情や感動を共有しあえる人間同士なのだ」という認識をもたらすことをひとつの重要な目的にしている。それはいわば、国境を越えて魂が行き来する道筋なのだ。

 今回の尖閣諸島問題や、あるいは竹島問題が、そのような地道な達成を大きく破壊してしまうことを、一人のアジアの作家として、また一人の日本人として、僕は恐れる。

 国境線というものが存在する以上、残念ながら(というべきだろう)領土問題は避けて通れないイシューである。しかしそれは実務的に解決可能な案件であるはずだし、また実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えている。領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし賑(にぎ)やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。

 そのような安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽(あお)るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くならなくてはならない。一九三〇年代にアドルフ・ヒトラーが政権の基礎を固めたのも、第一次大戦によって失われた領土の回復を一貫してその政策の根幹に置いたからだった。それがどのような結果をもたらしたか、我々は知っている。今回の尖閣諸島問題においても、状況がこのように深刻な段階まで推し進められた要因は、両方の側で後日冷静に検証されなくてはならないだろう。政治家や論客は威勢のよい言葉を並べて人々を煽るだけですむが、実際に傷つくのは現場に立たされた個々の人間なのだ。

 僕は『ねじまき鳥クロニクル』という小説の中で、一九三九年に満州国とモンゴルとの間で起こった「ノモンハン戦争」を取り上げたことがある。それは国境線の紛争がもたらした、短いけれど熾烈(しれつ)な戦争だった。日本軍とモンゴル=ソビエト軍との間に激しい戦闘が行われ、双方あわせて二万に近い数の兵士が命を失った。僕は小説を書いたあとでその地を訪れ、薬莢(やっきょう)や遺品がいまだに散らばる茫漠(ぼうばく)たる荒野の真ん中に立ち、「どうしてこんな何もない不毛な一片の土地を巡って、人々が意味もなく殺し合わなくてはならなかったのか?」と、激しい無力感に襲われたものだった。

 最初にも述べたように、中国の書店で日本人著者の書物が引き揚げられたことについて、僕は意見を述べる立場にはない。それはあくまで中国国内の問題である。一人の著者としてきわめて残念には思うが、それについてはどうすることもできない。僕に今ここではっきり言えるのは、そのような中国側の行動に対して、どうか報復的行動をとらないでいただきたいということだけだ。もしそんなことをすれば、それは我々の問題となって、我々自身に跳ね返ってくるだろう。逆に「我々は他国の文化に対し、たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない」という静かな姿勢を示すことができれば、それは我々にとって大事な達成となるはずだ。それはまさに安酒の酔いの対極に位置するものとなるだろう。

 安酒の酔いはいつか覚める。しかし魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない。その道筋を作るために、多くの人々が長い歳月をかけ、血の滲(にじ)むような努力を重ねてきたのだ。そしてそれはこれからも、何があろうと維持し続けなくてはならない大事な道筋なのだ。

(以上、9月28日朝日新聞朝刊に掲載)

2012.10.07 (日) 雨のち晴れ

 本屋さんで小松英雄先生の『仮名文の構文原理』増補新装版を発見。ついつい購入する。
 ところで、キヤノンからミラーレスの「EOS-M」が発売になり、CFが何とガッキーである! パナソニックは綾瀬はるかだったし、オリンパスは宮崎あおい、そして、ソニーは北川景子…。う~ん、私の趣味を熟知しているとしか言いようのない起用には、心が動かされてしまうのである。でも、EOS-Mは買いません…多分。

2012.10.06 (土) 晴れ、夜から雨

 今日は学校説明会が予定されており、推薦入試の変更もあって多くの人出が予想されることから、教員はできるだけ全員体制で臨むことになっていたのだが、私の祖父の50回忌、祖母の37回忌、叔父の7回忌ということで、私事の方を優先させていただく。孫どもも、初めて顔を会わす親戚にすっかり気に入られて、イイ一日。

2012.10.05 (金) 曇り・晴れ

 実力テストの採点終了。まずまずの出来である。

2012.10.04 (木) 曇り・晴れ

 午前中、授業+健康診断。依然として血圧が低く「68~96」である。ははは。一方、ウェスト(メタボ健診)はというと…内緒、シクシク…。
 午後から進路部の研修出張。キャリア教育に関するもので、日比谷では「星陵セミナー」を初めとする進路指導のメニューができあがっていることもあり、実質的な参考事例を期待して臨んだわけではないが、話そのものは面白く、いろいろと参考になってよかった。

2012.10.03 (水) 曇り・雨

 後期始業集会+避難訓練+実力テスト。

2012.10.02 (火) 晴れ

 星陵祭の振替休業日。明日からの後期に備えて授業の下調べしたり、新しく依頼された原稿書いたり、網戸の修理をしたり、銀行に行ったり、ブックオフに本を売りに行ったりして過ごす。なかなか有意義な一日であった。夜の教育法は、来週からのレポート演習に備えて、今日は準備休講。

2012.10.01 (月) 晴れ

 「都民の日」で、都立学校はお休み。教員はお休みではないのだが、授業がないので休暇をもらう。近ごろ、都民の日に授業をやる都内の学校もあるようだが、そんなに授業を増やしてどうするのだろう? まあ、保護者としては学校があった方がうれしいだろうが…。
 教員免許更新講習の修了書が届いたので、それに伴う事後手続きをしたり、カメラのメンテナンスで新宿のサービスセンターに出かけたりして過ごす。新宿中央公園の木陰で昼寝してイイ気分であった(…が、蚊にさされた)。北米最後の野生インディアンに関する記録『イシ』(シオドーラ・クローバー、岩波現代文庫、2003)を読んでいるが、彼のたどらざるを得なかった過酷な運命には、ただただ言葉を失うだけである。